老後2000万円問題からみる大人の金融教育

老後2000万円問題からみる大人の金融教育

老後2000万円問題って覚えていますか?3年くらい前に話題になりましたが、最近はほとんど聞くことはありませんね。もう解決した問題なのでしょうか?それとも話題に挙がらない、挙げられないだけで今後も待っている問題なのでしょうか?

老後2000万円問題とは?

金融庁がまとめた人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書の中で95歳までに生きるには夫婦で約2000万円が必要になるという試算を示しました。公的年金では足りない金額として、2000万円が必要ということです。なので、65歳の定年退職までに2000万円以上をためておく必要があるのです。公的年金で賄えない2000万円を各個人(家庭)で工面しなくてはいけないという問題が「老後2000万円問題」なのです。

政府の対策

金融庁がこのような報告書をまとめましたが、政府はこの報告書を受け取りませんでした。認めたくない、認められない見解だったということです。だからといって、無策なわけではありません。年金や社会保障制度の改革や退職年齢を70歳に送らせるなどの施策を行っています。

第一、この報告書は、国民に各個人で資産形成をしてもらいたいという意図があってまとめられたと考えられます。日本国民は諸外国と比べて、極端に金融教育が遅れています。資産形成に関する知識も実践も遅れているのが現実です。だから、国民に投資を行い、各個人で資産形成に取り組み、自分の力で老後の生活を守れるようになってほしいのです。

最近聞かないけど、解決したの?

総務省統計局のデータを見ると、不足額は2000万円から60万円程度まで減額していたのです。なぜでしょうか?まず、不足額は年度によってかなりズレがあるのです。収入額が増加し、支出額は若干の減少傾向という結果となっているのです。また、昨年はコロナ関係の補助金も多数あり、収入が大きく増加していることも原因の一つです。ここのデータは、夫婦ともに無職の世帯のデータです。再任用などで職に就いている世帯の場合は考慮されていません。なので、本当に解決しているのかは分かりません。しかし、改善の方向に進んでいると判断することはできるでしょう。ただ、平均がどうあれ、自分はどうかが大切です。老後に備えておいて損はないでしょう。

解決策は?

改善傾向にあることは分かりました。将来もその傾向が続くかは分かりませんね。対策をとっておいて損はないでしょう。どんな対策ができるのでしょうか。

2000万円の資産を作ろう

2000万円の資産を作りましょう。老後2000万円というくらいですので、2000万円の金融資産を作っておけば十分でしょう。大卒(22歳)から毎月貯金をしたと仮定しましょう。定年退職(65歳)まで43年間あります。毎月4万円を貯金したとき、2064万円になります。もし貯金ではなく、投資をする場合はどうなるでしょうか?利回り3%で運用したとき、毎月の積立は1.9万円、5%で運用したときは1.1万円、7%で運用したときは0.6万円でいいのです。投資をするだけで、毎月の積立額が4万円から0.6万円に減らすことができるのです。7%という利回りは決して夢物語ではありません。積立NISAで取り扱われている投資信託には7%を超えるものもあります。43年間で2000万円の資産を作るために必要な利回りと毎月のt

利回り 0% 0.001% 3% 5% 7%
毎月積立額 38,760円 38,751円 19,034円 11,043円 6,105円

年金以外の収入を得る仕組みを作っておこう

投資をすれば、2000万円をつくることは難しいものではないかなと思っていただけましたか?2000万円の資産をつくっても、それを取り崩しながら生活を送るのは不安ではないですか?2000万円を取り崩しきってしまったら、どうしようと思いませんか?

その対策のために、年金以外の収入を得る仕組みを作ってみましょう。年金以外の収入があれば、2000万円を取り崩すペースを遅らせたり、取り崩す必要なく生活を送ることができたりしますよね。再任用という形で退職を遅らせたり、年金の繰り下げ受給で受け取る金額を多くしたり、副業という形でなんらかのビジネスを行ったり、株式投資の配当金を貰えるようにしたり、様々な方法で年金以外の収入を得る仕組みを作ってみましょう。

資産運用の及第点

資産運用では、適切なリスクとリターンを求める必要があります。リターンが大きければリスクも大きくなり、リターンが小さければリスクも小さくなる傾向にあります。適切なリターンとリスクの取り方を考えていきましょう。

投機と投資の違い

資産運用は投資を行います。投資とは、長期的に見たときに資産が増加していくものです。積立NISAや投資信託に毎月積み立てていくものなどが投資になります。先ほど話した3%で43年間運用した場合を考えると、2000万円のうち、982万円は投資元本で1018万円が運用益になります。43年間でやっと2倍になるくらいです。

投資と似たもので投機というものがあります。これは短期的に資産を増大させるものです。1年で2倍にするものやFX、レバレッジをかけたトレードなどがそれにあたります。リターンは大きくなりますがリスクもかなり大きくなってしまいます。それを理解した上で投機を行う分にはいいと思いますが、投資と思って投機をしてしまうと予想していなかった結果になってしまいます。

投資と投機の違いを理解し、目的に応じて取り組むことが大切です。

具体的な投資スタイル

では、具体的になにをすればよいのでしょうか。ネット証券に証券口座を開設し、積立NISAで投資信託を毎月、定額を積み立てましょう。ネット証券は手数料が安く設定されています。対面型の証券会社で購入するよりも様々な手数料を安く抑えることができるのです。また、様々なポイント還元のサービスも行われているので有効に活用しましょう。積立NISAは、優遇税制を受けられます。本来は投資による利益に20%程度の税金がかかりますが、積立NISAでは利益に税金がかかりません。毎月、定額(33,333円)を積み立てていきましょう。積立NISAは優遇税制を受けられるため、上限額が決められています。上限いっぱいまで投資しましょう。ただし、無理な投資をしてはいけません。あくまで、余裕資金で預貯金に回す分を投資にするというイメージです。可能な限り、上限額まで、ご自身の懐事情と相談しながら無理のない範囲で投資をしましょう。

まとめ

ここまで老後2000万円問題から、具体的な投資についてまとめてきました。老後の生活を支えるのが、公助(年金などの社会保障)から自助(個人の資産形成)に移り変わろうとしています。自分のことは自分でできるように行動していきましょう。